明石農園 明石栄美子さん|甘夏みかんを通じて能古島の魅力を発信し続ける明石さんの想う能古島の未来とは(後編)

前半では明石さんの就農のきっかけや能古島での活動について伺ってきました。自らが中心となってのこのしま加工部会を立ちあげサステナブルな活動に尽力する明石さんがおもう能古島の抱える課題や能古島の魅力について後半では掘り下げていきます。

ー明石さんが思う能古島の魅力って何ですか?

 

明石:やっぱり自然が豊かなところと島民が優しい人が多いってところですね。ほんと島の人のほとんどが顔見知りっていうのもあって地域のつながりが強いのは良いですね。離島っていうこともあってお互いに助け合わなければならないので大事ですし大切にしたい所ですね。

 

ーほとんど知りあいってすごいですね!

 

明石:移住されてこられた方はなかなか把握できていない方もいらっしゃいますけどそれでもほとんど知っていますね。

 

ーどんどん近所づきあいなんかが希薄になってきている世の中で、そんな風につながりを大事にできる習慣って素敵ですね。

 

明石:そうですね、私は能古島のずっと住んで能古島にお世話になってきたので能古島に恩返しをしたいって思ってて最近は訪問介護の仕事を始めました。お年寄りの方がとても増えてきたのでそういった方たちの役に立てればと思います。

 

ー素晴らしいですね、能古島に恩返しをしたいと思ってもなかなか行動に移せる人っていないですよ。明石さんの行動力って本当に凄いです。

 

明石:ありがとうございます。ただ、逆をいうと能古島は若い島民が減ってお年寄りの方が増えているっていうのが能古島の抱える問題でもあるんです。

能古島の主な産業といえばやっぱり農業で、高齢の農家さんが増えて若手の農家さんが減っています。

 

ーなるほど、やっぱり若い方のパワーって大事ですか?

 

明石:そうですね、何か新しいことを始めようとしたときに若い方の突き抜けるパワーが必要ですね。のこのしま加工部会でつくったものやみかんを東京や大阪に持って行ってPRしようかって話が一度あったんですけど高齢な農家の方たちはなかなか動けず、体力のある若手の農家もいなかったため頓挫したことがありました。

体力的な面でも無理できないし年齢を重ねるとどうしても保守的な考えの方も多くなってきて新しいことを始めることが難しいっていうのはありますね。

 

ーそしたらのこのしま加工部会を立ちあげるときも大変だったんじゃないですか?

 

明石:もう大変でした。今までなくても生活ができてきた方たちばっかりなので必要ないっていう方が多くて理解を得るのに苦労しました。

 

ーたしかに新しいことを始めるのなかなかパワーが必要ですもんね。

 

明石:そうですね、これも能古島の抱える問題でもあるんですが耕作放棄地と空き家が能古島には沢山あるんでこれを活用して就農と移住を希望される方達を受け入れる体制を整えられればと思うんですがこれも色んな問題が絡み合ってなかなか解決の糸口が見つからないのが現状です。

ー使われていない農場と空き家があるんですか?

 

明石:ものすごく多いです。島の農家さんも減ってきていますし島民自体も減っています。息子さんが島から出ていって親御さんが亡くなってそのまま家を放置してしまっているところがかなり多いです。その家を誰かに貸せばいいのにって思うんですけど仏壇が置いたままだったり、家によってはお骨があったりなどでなかなか人に貸し出せる状態じゃないお家が多いんですよ。お骨を永代供養すればいいんでしょうけどやっぱりそれもお金がかかるわけで、そうまでして人に貸し出そうという方ってなかなかいなくて。

 

ーなるほど、確かに仏壇やお骨がある物件に住みたいってならないですもんね。手間や費用を考えると難しい問題ですね。

 

明石:空いてる農地も沢山あるのでどうにかしたいです。青年部が草刈りをしてメンテナンスしているけどとてもじゃないけど間に合っていなくてせっかくの農地が本当にもったいないです。だれか借りて農業をやってくれないかって思っても借りるのももともと農家の方でないといけなかったり一反以上でないと行けなかったりとハードルが高くて新規就農の妨げになっているっていう問題もあります。

 

ーさまざまな問題が複雑に絡み合っているんですね。

 

明石:一つ一つ解決していかなけれならないことが山積みです。

 

ー明石さんが思い描く能古島の理想像を教えていただきたいです。

 

明石:なかなかむずかしいですね。やっぱり若い人が増えていろいろと外にむけて能古島のみかんを始め能古島の良さを沢山のひとが知ってくれたらいいなと思います。さっきも言いましたけど能古島にはお世話になったので、能古島に恩返しができるようなことを続けていきたいです。

 

ーありがとうございます。能古島で長年活動してきた明石さんだからこそわかる魅力や問題を知ることができました。

 

明石:最後に『磯べぇ』に行きましょうか。

 

ーぜひ!

 

 

明石:つきました。まずはシャッターを見て欲しいんですけど、このシャッターの絵は能古小学校の6年生の子たちに卒業記念として書いてもらったんですよ。

ーへぇ~いいですね!子供たちもこれはいい思い出になりますね!

 

明石:看板の字なんかも書いてもらってました。アジがあって良いですよね。

ー本当に日用品や駄菓子が沢山そろってますね、たしかにこれらを買うためにわざわざ船に乗らなくて済むようになるのは島の人たちからするとものすごくありがたいですね!

 

明石:コロナのせいでなかなか子供たちも学校にいけずに落ち込んでたりしてたのでここで少しでも気を紛らわせられたらとは思います。先日は本来であれ卒業式で歌うはずだった歌が歌えないってことで、ここの前の広場だったら密にならないってことで生バンドを呼んで子供たちに歌ってもらいました。

 

ーものすごくいいですね!子供たちもいい思い出としてずっと記憶に残るでしょうね!

 

明石:だったらいいですね。磯べぇもそうですし明石農園にのこのしま加工部会、訪問介護の仕事を通して能古島に貢献していけたらと思います。

 

ー明石さんの活動で元気をもらっている方って本当に多いんだろうなと思います。今日は本当に貴重なお話をありがとうございました!

 

明石:ありがとうございました。

明石農園

明石栄美子さん

能古島で甘夏、ニューサマーオレンジ、ビワなど柑橘類を中心に栽培する農園を運営。

のこのしま加工部会をJAと共に立上げこれまで廃棄されていた規格外の作物を加工することで食品ロスを抑制するなどサステナブルな活動に尽力。

みかんの被り物をし『のこのしマン』に扮して島の小学校をはじめとするさまざまな場所で地元の農作物をPRするなどの広報活動も行っている。

 

【明石農園】

住所:福岡県福岡市西区能古島160831

TEL08083794652 

FAX0928812631